ベオグラードのメシが、想像をはるかに超えて美味かった。
ホステルオーナーの「ここ行っとけ」
ベオグラードに着いて最初にやったのは、ホステルのオーナーに「美味い飯屋はどこだ」と聞くことだった。
旅先でのレストラン選びは、ネットの口コミよりも地元民の一言のほうが圧倒的に信頼できる。これは12カ国を旅してきた中で確信に変わった法則である。
オーナーが教えてくれたのは「Zavicaj(ザヴィチャイ)」というレストラン。TripAdvisorでも8位にランクインしている人気店で、セルビアの伝統的な家庭料理が食べられるという。
さらに自分でもリサーチして、TripAdvisorで3位にランクインしていた「Gradska(グラツカ)」にも行くことにした。

旅先で「地元の人のおすすめ」と「口コミサイトの上位」を両方試すのは、僕の中での鉄板パターン。どっちが正解かは食べてみないとわからないのだ。
Zavicaj(ザヴィチャイ)― 地元民が愛する家庭料理

まず向かったのはオーナーおすすめのZavicaj。外観からして雰囲気がある。「ethnic restaurant」「home made food」と書かれた木造の看板が出迎えてくれた。

店内に入ると、赤と白のチェック柄のテーブルクロスが目に飛び込んでくる。壁には民芸品が飾られ、天井からは銅のランプがぶら下がっている。セルビアの田舎の食堂をイメージした、温かみのある空間だった。
ウェイターもベストにシャツというきちっとした格好で、接客も丁寧。かなり好印象である。
ショプスカサラダと焼きたてパン

まず出てきたのが「ショプスカサラダ」。トマト、きゅうり、そしてその上にこれでもかと盛られた白いチーズ。バルカン半島ではどこでも見かけるサラダだが、チーズの量が尋常ではない 笑

一緒に出てきたパンがまた絶品。外はカリッと、中はもちもち。焼きたてで温かい。このパンだけで白飯3杯分ぐらいの満足感がある・・・・
セルビアのパンは、ボスニアのソムンとはまた少し違う。もっと素朴で、小麦の香りがしっかり感じられる。こういう主食のクオリティが高い国は、大体何を食べても美味いのだ。
メインの燻製ポークBBQ

そしてメインディッシュ。燻製ポークのBBQグリルである。
プレートに豪快に盛られた肉は、見た目からしてもう美味い。一口食べると、燻製の香ばしさとジューシーな肉汁が口の中に広がった。フライドポテトも付いていて、ボリュームも申し分ない。
これで約1080ディナール。日本円にして約1000円である。
1000円でこのクオリティ。東京の居酒屋で中途半端なおつまみを頼むより、はるかに満足度が高いのだ。
Gradska(グラツカ)― TripAdvisor3位の実力
翌日は、TripAdvisorで3位にランクインしていたGradskaへ。

場所は中心街から少し離れた公園の近く。白い柵に囲まれた敷地に、こぢんまりとした木造の建物が佇んでいた。Zavicajの重厚感とは対照的に、カジュアルで開放的な雰囲気である。

店内は広々としており、壁には魚の剥製や写真が飾られている。テーブルセッティングもしっかりしていて、ナプキンが三角に折られているのが印象的だった。
セルビア風キャセロールに出会う

Gradskaで注文したのは、セルビアの伝統的なキャセロール料理。陶器の器にたっぷりと入った肉と野菜の煮込みに、サワークリームのディップが2つ付いてくる。さらにトマトときゅうりのサラダと、焼きたてのピタパン。

サラダはZavicajのショプスカとは異なり、チーズなしのシンプルなスタイル。トマト、きゅうり、玉ねぎをざっくり切っただけなのに、これが新鮮で美味い。

キャセロールは、肉と野菜がチーズと一緒に陶器の中でじっくりと焼き上げられていた。スプーンですくうと、中からとろりとチーズが絡んだ具材が出てくる。これがまた絶品。サワークリームを付けて食べると、コクと酸味のバランスが最高だった。
こちらは約1180ディナール。日本円にして約1180円。Zavicajよりは少し高いが、それでも十分安い。
セルビア料理はトルコの影響を受けていると聞いていたが、確かに陶器で焼く調理法やサワークリームの使い方に、オスマン帝国時代の名残を感じる。歴史と食文化のつながりを感じながら食べる飯は、また格別なのである。
2軒を比較してみた
| Zavicaj | Gradska | |
|---|---|---|
| TripAdvisor順位 | 8位 | 3位 |
| お会計 | 約1080ディナール(約1000円) | 約1180ディナール(約1180円) |
| 雰囲気 | 重厚な伝統スタイル | カジュアルで開放的 |
| サラダ | ショプスカ(チーズたっぷり) | シンプル(チーズなし) |
| メイン | 燻製ポークBBQ | セルビア風キャセロール |
| おすすめ度 | ガッツリ肉を食べたい人向け | 伝統料理を幅広く楽しみたい人向け |
どちらも甲乙つけがたい。強いて言えば、初めてのセルビア料理ならZavicajの豪快なBBQ、2回目以降ならGradskaの伝統料理という使い分けがいいかもしれない。
ベオグラードは「安くて美味い」の宝庫
セルビアの食事は、バルカン半島の中でもトップクラスに美味いのではないかと感じた。
肉料理のクオリティが高く、パンやサラダといった脇役まで手を抜いていない。しかもどの店も1000円前後で腹いっぱいに食べられる。バックパッカーにとってこれ以上ありがたい国はない。
ホステルのオーナーに感謝である。あの一言がなければ、適当にファストフードで済ませていたかもしれない。
2026年現在、ベオグラードは「ヨーロッパで最もコスパの良い美食都市」としてフードツーリズムの注目を集めている。Zavicajは現在も営業中で、Google口コミでも高評価を維持している。物価上昇はあるものの、西欧と比べればまだまだ割安。バルカン半島を旅するなら、ベオグラードでの食事は絶対に外せないのである。
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つづく。