タイにはミャンマーとの国境付近に、多くの山岳民族が住んでいる。今回僕は、ラフ族とアカ族の村に泊まらせて頂く事になった。
これは、チェンライのNGO「ミラー財団」のボランティアプログラムでの体験だ。前回の記事で全体の流れを書いたが、今回はその中でも一番濃かった「村でのホームステイ」にしぼって振り返っていく。
民族間の村自体はそこまで離れていないが、言葉も文化も違う事には非常に驚かされる。また村には決まりがあり、絶対に触れては行けない物や、写真を撮ってはいけない物が存在する。事前にミラー財団よりレクチャーを受けていたが、少々緊張をして村を訪問したのである。
この体験のざっくり基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 場所 | タイ・チェンライの山岳民族の村(ミャンマー国境付近) |
| 泊まった民族 | 1日目:ラフ族 / 2日目:アカ族 |
| 宿泊スタイル | 高床式の竹の家にホームステイ(蚊帳で就寝) |
| 移動 | ラフ族の村→アカ族の村まで約3〜4kmをトレッキング |
| 注意点 | 写真NGの物がある・生水でお腹を壊しやすい |
ラフ族の村へ
下記が今回、お世話になったホームステイ先である。ちなみにラフ族の家だ。

村には鶏や犬、豚が至る所におり、放し飼いされているのだ。

このような動物や虫対策ということもあり、家は高床式になっている。家はベースが竹で出来ており、床や壁は隙間が空いているので、夜は蚊帳の中で寝るのである。
「アボウジャ!」笑顔は世界共通
さっそく村を1人で散策し、村の住民に会ったら覚えたての挨拶を試してみる。
「アボウジャ」(こんにちは)
やはり、笑顔での挨拶は全世界共通である。みんな笑顔で挨拶を返してくれるではないか!
そして、近くで家を建てている建設現場に行き、挨拶をして様子を見ていると、お酒を飲んでいる大工らしきグループから「一緒に飲もう」とお誘いを受けたのだ。
30度ぐらいあるお酒をショットで一気に3杯飲まされたのはきつかったが、ジェスチャー等でやり取りをして交流が図れたのは、非常に楽しかったのである。
💡 山岳民族の挨拶メモ 同じ「山岳民族」でも、民族が違えば言葉も挨拶もまるで違う。
- ラフ族:アボウジャ(こんにちは)
- アカ族:ウドゥタマ(こんにちは)
言葉が通じなくても、覚えた挨拶を笑顔で言うだけで一気に距離が縮まる。これは旅で一番効く「魔法の一言」だ。
竹で炊くごはんと、8人の大家族
そして、村のホームステイ先のご家族との食事である。
竹は非常に万能であり、料理・家具・建築材料等、様々な物に使えるのだ。今回は卵料理と、ご飯を竹で炊いて作ってくれた。蟻も大量に入っていたのだが、「蟻も美味しい」とのことで、取り除かずにそのまま調理(笑)
今回のホームステイ先の家族は、祖父母も含めて8人ぐらいいて、賑やかなご飯になった。しかも客人の僕がいるので、少し豪華にしてくれたのだ。
ラフ族・アカ族は親族を大事にしており、何世代も前までを「家族」として、非常に大切に考えているとの事。日本で僕が祖父母と一緒に住んでいないという事を伝えると、非常に不思議がっており、ここでも文化や思想の違いを垣間見る事が出来たのだ。
子供たちが教えてくれた「村の知恵」
食事が終わり、子供たちと遊んでいると、何やら木の葉っぱをもぎ取って、茎の部分をかじるジェスチャーをしているではないか。


実際にかじってみると、レモンのような酸っぱさがあるのだ。この他にも、生活における様々な知恵を教えてもらい、日本ではできない貴重な経験をさせてもらったのである。
そして驚いたのが、このような村でも普通にタイのテレビ番組が放送されており、夜は家族とみんなでドラマを見たのだ(タイで人気の、ドロドロ恋愛系のドラマである 笑)
ラフ族はラフ語を話すが、テレビで放送される言葉はタイ語である。村の子供は小さいながらにして、既に2カ国語を話す事が出来るのだ。こちらも非常に驚いた。
アカ族の村へトレッキング
二日目は、ラフ族の村からアカ族の村へとトレッキングで移動した。約3〜4kmの道のりである。

アカ族はアカ語をメインとしており、挨拶も異なってくる。「ウドゥタマ」(こんにちは)である。
アカ族には伝統的な服があり、本来は日常生活の中でも派手な民族衣装を着て生活していたという。しかし実際に村に行ってみると、住民全員がラフな半袖やスパッツ、短パンを履いて生活していた。
また、村には子供や高齢の人しかおらず、年頃の人たちはみんなバンコクなどの都会へ働きに行ってしまっているとの事。村の伝統も、薄まりつつあるそうだ。
生活を豊かにする為に都会へ行く事は良い事である。だが、伝統が薄れる事は、村の住民としては受け入れがたい事実でもある。山岳民族の中でも、近代化により「格差」以外にも大きな問題が生まれている事を、肌で感じる事ができた。
伝統衣装で、一緒に踊る
最終日の夜、僕が客人として村に来たという事で、伝統衣装を着せてもらい、一緒に伝統ダンスを踊らせて頂いた。

村の住民と共に生活をして、日本では触れる事の出来ない思想や価値観に触れ、非常に勉強をさせて頂いた。
まだまだ世界には、自分の知らない領域がある。「日本」がベースの自分には、まだまだ受け入れられない領域が多かったのも事実だ。
そして何より——村の水のせいで、この旅で初めて下痢をした時は本当に辛かった(笑)
山岳民族の村に泊まる前に知っておきたいこと
これから村でのホームステイを考えている人へ、実際に泊まって感じた「リアルな心得」をまとめておく。
- 写真は勝手に撮らない → 村には信仰上、撮影してはいけない物・場所がある。必ず事前のレクチャーに従い、人を撮るときも一声かけるのがマナー
- 生水・氷に注意 → 僕はこれでお腹を壊した。飲み水はミネラルウォーターを基本にし、整腸剤や下痢止めは必ず持参を
- 虫・蚊対策 → 高床式の家は隙間だらけ。虫除けスプレーと、肌を覆える長袖・長ズボンがあると安心
- お酒を勧められたら → 歓迎の証なので無下にはしづらいが、度数が高い。飲めない時は笑顔で「少しだけ」と伝えよう
- 覚えるべきは挨拶ひとつ → 言葉が通じなくても「アボウジャ」「ウドゥタマ」の一言で、村の空気がガラッと変わる
今ならスマホの翻訳アプリも使えるが、電波が弱い村も多い。オフラインで使える翻訳や地図は、出発前に準備しておくと心強い。
たった数日間だったが、観光では決して味わえない「暮らしの中に入る」経験ができた。チェンライまで足を伸ばす機会があれば、ぜひ検討してみてほしい。
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つづく。