結果から言うと――無事に、イタリアのミラノで荷物と再会できた。

そこまで心配はしていなかったが、とりあえず服を着ることが出来たので本当に良かった。東南アジアではまったく活躍しなかったデニムやウルトラライトダウンが、ここへ来て大いに役に立っている。
発見までの、長い道のり
イスタンブールは無事に出国できた。だが僕は相変わらず、ビーチサンダルに半袖・半パンのまま。寒すぎて、機内ではすぐにCAさんに毛布をもらった。
周りのイタリア人や外国人は、革ジャンやダウンジャケットを着込んでいるレベルである。(気温は10〜15℃ぐらい)。ひとりだけ常夏スタイルの僕は、もはや見世物だ。
そんな凍えた体に、途中の機内食とあったかいコーヒーが沁みた。正直、この旅いちばんの旨さであった。
移動は3時間ほどあったので、映画を2本鑑賞した。「スティーブ・ジョブズ」と「アンフェア the end」だ。
ジョブズの映画は、アップル成功の軌跡というよりは、彼のビジネスやサービスへの徹底的なこだわり、自信、一切の妥協を許さない姿を如実に描いた作品だった。すべてとは言わないが、ビジネスマンが参考にすべきポイントがいくつもある。
個人的な一押しは、スティーブと娘の関係の変化だ。あれだけ「仕事>家族」だった彼が、最後に仕事ではなく娘を優先したシーンには、かなり感動した。伏線が徹底的に作り込まれているからこそ、ラストでグッとくるのだろう。
(アンフェアの感想は……ネタバレになるので書かないでおく。シリーズ唯一の未見だった最終章を、こんなところで回収できて、黒幕もはっきりしてすっきりである♩)
本題に戻る。荷物カウンターへ突撃

ミラノに着いて、流れてくる荷物をぼんやり待っていても意味がない。そう判断して、すぐに荷物カウンターへ向かった。
ところがこのミラノ・マルペンサ空港、カウンターがかなり奥の奥にある。300メートルぐらい歩く必要があるのだ。
ようやくたどり着き、受付の女性に経緯を伝えて荷物を調べてもらう……そのときである。ちょっとした事件が起きた。
なんと、受付の女性のズボンのチャックが全開だったのだ。
僕はジェスチャーを交えつつ、「チャック! チャック!」と小声でつぶやき続けた。そして6回目、ようやく気づいたらしく、「Thank you」と恥ずかしそうにお礼を言ってきた。……こういうときは、はっきり伝えてあげるタイプなのである。
イケメン係員、現る
少し待つと、「荷物は6番ゲートに届いている」とのこと。早速6番ゲートへ向かった。
だが、待てど暮らせど、僕の荷物は流れてこない。
ここで焦っても仕方がないので、空港のWi-Fiでパソコンをいじって時間をつぶす・・・・・
20分ほどすると、「◯◯!!」と僕の名前を呼ぶ声が。振り向くと、イタリア人のイケメン係員さんが、こちらに向かって僕の名前を呼んでいるではないか。
何やらしゃべっている。おそらく「荷物は僕が預かっていた」と言っているのだろう。彼の後をついていくと、そこにはちゃんと、僕のバッグが置いてあったのだ。
とりあえず丁重にお礼を言い、すぐに近くのトイレへ駆け込んで着替えた。ようやく、ようやく人間らしい服装に戻れたのである。
当時の僕が願った「荷物追跡」は、もう現実になっていた
一連の出来事を通して感じたのは、今の時代、空港で荷物が完全に失われることはほとんどない、ということだ。
すべての荷物はバーコードで管理され、今どの空港の、何番の飛行機に積まれているかまで、しっかり追跡されている。実際、僕の荷物もちゃんと先回りしてミラノに届いていた。
とはいえ、搭乗者からすると不安が拭えないのも事実。だから当時の僕は、こう思ったのだ。
「Amazonの配達状況確認みたいに、荷物が今どこにあるのか自分で追えるアプリや、航空会社の専用サイトがあったら、すごく良いのに」
今思えば――この願いは、もう完全に現実になっている。
AirTagをバッグに入れておけば、荷物の居場所はスマホの地図上に一発で表示される。各航空会社のアプリでも預け荷物の積み込み状況が確認でき、一部の航空会社ではAirTagの位置情報を共有して捜索を依頼することすら出来る。10年前に「あったらいいな」と空港で夢想したものが、今や旅の標準装備になっているのだ。技術の進歩には、本当に頭が下がる。
まとめ
半袖短パンで凍えながらの、波乱の乗り継ぎ。だが終わってみれば、荷物も無事に戻り、映画も堪能し、ちょっと笑える思い出までできた。
トラブルも、過ぎてしまえば最高の土産話である。これだから一人旅はやめられない。
さあ、ここからはいよいよ本格的にヨーロッパ。イタリア・ミラノの街歩きが始まる。
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つづく。